6.26.2009

<そして、私たちは愛に帰る>ファティ・アキン


圧倒されてしまった。

何と苦しい、
苦しさから、ぎゅーっと絞り出される『ゆるし』。
深く愛するが故の行き違い、遮断、絶望、を、乗り越えて、
許すことによって『愛』の道に出る。

許すことが償い。
失ったものを取り戻すかわりに。

『信仰』が立ち入るところは、無宗教の民には、やゝ?縁が薄いようにも思ったが、
現実の問題を透過して、人間のありかたを、訴えかけられた。

画面の構成も、筋の運びも、良く出来ていながら
技巧に眩ませられない『本筋』の現れ方が素晴らしい。

さまざまな事を思い、思い出し、砂の上で、舟の帰りを待つ男は、ただじっとしている。
波が静かに寄せては返す。男の傍らで、何気なく、ビニール袋が、風に転がる場面も、良かった。